我々の教室の卒業生および在籍教員は、全員本人の希望する教育研究機関(教職)や企業に就職し、各々のキャリアパスを形成することに成功しています。
以下に近年の就職先などを記載します。
札幌医科大学(教授)、慶應義塾大学(教授)、京都大学大学院医学研究科(特定教授、講師)、滋賀医科大学(准教授)、同志社大学(准教授)、自治医科大学(助教)、京都大学病院(助教)、鹿児島大学(講師)、大阪歯科大学(講師) など
米国連邦政府食品医薬品局(FDA)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、国立循環器病研究センター、倉敷中央病院、千葉県立がんセンター、神奈川県立こども医療センター など
武田薬品工業、中外製薬、大塚製薬、大日本住友製薬、千寿製薬、バイエル薬品、サノフィ、 ヤンセンファーマ、テルモ、ユニリーバ、パレクセル・インターナショナル、クリエイティブ・シューティカル など
企業に在職しながら修士課程、博士後期課程で研究する「社会人特別選抜」という制度もあります。
上記制度で入学し研究した卒業生は、企業に戻り研究成果を生かして活躍しています。
同制度の詳細はSPHホームページの「入試情報・入試案内」をご覧下さい。
私は、初期臨床研修を修了後、耳鼻咽喉科医として大学病院、市中病院で診療に携わってきました。大学院へ入学するまでは、症例報告しか学会発表や論文発表をしたことがなく、臨床研究に興味はありましたが実際に行ったことがなく、知識もほとんど持っておりませんでした。
2017年4月に大学院博士課程に入学し、社会健康医学系の講義やMCRの受講、薬剤疫学教室での医療データベースを用いた研究を通して、臨床研究についての基礎や実践について体系的に学ぶことができました。様々なバックグラウンドを持つ学生と交流し、共に学んだこともとても貴重な経験となりました。
薬剤疫学教室では、学生ひとりひとりにメンターの先生がつき、研究についてご指導いただいております。また、はじめて取り組んだ医療データベースを用いた研究では、MCRや薬剤疫学教室でのラボミーティング内で発表する機会を得ることができ、様々なご専門の先生方や学生からのご指導、ご意見をいただきました。このような恵まれた環境の中で、査読付き英文ジャーナルへの出版、学位取得までたどり着くことができました。
臨床研究の経験のない方でも基礎から学ぶことができ、大きな一歩を踏み出すきっかけになるかと思います。
私が、本教室の博士課程に入学したのは40歳を超えてからでした。それまでは、15年間外科医として、大学病院、市中病院等で勤務をしてきました。じっくりと勉強や研究をすることなく、論文は日本語の症例報告を書く程度でした。大学院で基礎研究を行うことに興味が持てなかった時、偶然、本教室の川上教授の講演を聞く機会を得ることができ、大規模データベースを利用した研究に強い興味を持ちました。ここで得られる知識・技術は、臨床に戻って市中病院へ行ったとしても、その後ずっと役に立ち、使用していけるというのが大きな魅力でした。
入学した初年度はMCRコースを受講しましたが、色々な背景を持つ同期達と互いに助け合い、非常に有意義な時間を持つことができました。MPHの教授・講師陣(ゲストスピーカーも含めて)は、講義内容だけでなく、「講義をすること」(人にものを伝える技術)のレベルも非常に高いです。また受講生側のモチベーションも高いため、自分のこれまでの「講義」というものに対する意識が大きく変わりました。年間単位取得の上限を超えて聴講してしまったくらいです。
多くの学生にとって、2年目以降は実際の研究を進めていく時間になります。私自身は家庭の都合で少し制約がありましたが、4年間というまとまった時間を持てたことで、計画していた研究を論文化することができ、少しは研究の習慣をつけることができました。
京都大学SPHは1、2,3、4年コースと幅広い選択肢があり、それぞれの事情や希望に合わせることができます。思い切って飛び込むと新しい世界が待っています。これからも熱意のある仲間が増えていくことを願っております。
私は初期研修終了後、救急集中治療医として臨床に携わって参りました。日々多くの臨床疑問がありましたが、先行研究のレビューをするのみで、なかなかそれを研究に昇華することができずにいました。後輩への研究指導もままならず、やはり一度腰を据えて臨床研究を学びたいという思いで薬剤疫学教室に入学しました。
研究に関しては一から学ぶつもりで来ましたが、薬剤疫学教室での豊富な教員の先生方による丁寧なご指導と、SPHでの系統的な講義、そして多様なバックグラウンドをもった先輩方や同期のおかげで、入学時に期待していた以上の知識と経験を得ることができたと思います。
SPHには医療統計、研究デザイン、文献検索、医薬政策など多岐にわたる講義があり、臨床研究をするにあたって必要な知識を系統的に学ぶことができます。これは臨床現場ではなかなか得ることのできない、貴重な財産となりました。
また、MCRコースでは、自身の研究アイデアについて、優秀な同期たちと議論をして練り込んだ後、さらに沢山のご高名な教授陣から一度にご指導いただくという大変贅沢な経験をすることができました。
薬剤疫学教室では豊富なデータベースが利用できるため、自身の研究アイデアに合わせたデータベースを選択することができます。また、メンターの先生から一対一の密な指導を受けるとともに、様々な分野の専門家の先生方からも直接ご指導頂けるため、MCRコースと合わせて更に自身の研究をブラッシュアップしていくことができました。
講義と研究で大変な時もありましたが、人生で二度と経験できない貴重な四年間を過ごさせて頂きました。臨床研究やリアルワールドデータに興味がある方は是非薬剤疫学教室の門を叩いてみてはいかがでしょうか。
私は呼吸器内科を専門とし、市中病院を経て大学病院で主に肺癌診療に従事していました。大学では、企業主導の治験やJCOGやWJOGといった多施設共同研究グループの臨床試験に関わってきましたが、既存の臨床試験の枠組みに限界を覚え始めていました。そのような状況のなかで、近年医療ビッグデータに注目が集まっており、それを利用したデータベース研究への可能性を感じるようになりました。また、以前から興味のあった疫学や生物統計学の知識を学びたいとの思いもあり、卒後11年目に京都大学の公衆衛生大学院そして、薬剤疫学教室へ参加しました。
大学院の講義では疫学や統計のみならず、臨床試験やデータ解析、費用対効果に関する講義もあり、幅広い知識を得ることができました。さらに、MCRコースの特徴である臨床研究計画法という講義では、自分の研究について教授の先生方や様々なバックグラウンドの同級生とディスカッションすることで研究をよりよいものにしていくという、ここでしか得られない経験ができました。また、本年は講義がすべてオンラインでの受講となりましたが、先生方のご尽力により遠隔であっても質の高い講義を受けることができました。受講を通してオンラインのよさに気づくこともあり、貴重な経験ができました。
実際の研究に際しては、当教室では専属のメンター指導のもと、研究計画を立てる段階から、データの扱いに関することや実際の解析、結果をまとめて論文執筆にいたるまで手厚いサポートを受けることができました。1年という限られた時間のなか、統計ソフトをほとんど使用したことがなかった状態から、データを用いた解析を行うことができるまでデータベース研究を実践することができました。
臨床研究に関する知識を体系的に学びたい方、データベース研究に興味がある方はぜひ本学の公衆衛生大学院、薬剤疫学教室への入学をおすすめします。
私は中国で薬理学の修士課程を修了後、すぐに京都大学SPHに入学しました。中国では学部時代から漢方薬に関する基礎研究を行ってきましたが、細胞や動物実験に基づいたミクロな視点だけでは、薬物の有効性や安全性を評価することは明らかに限界があると感じていたのです。マクロの視点で、薬物が実際に安全かつ真の効果を果たしているのかを評価する方法について学びたいという気持ちが強まり、薬剤疫学分野の専攻を選択しました。
この研究室に在籍した間では、大規模のレセプトデータベースを用いて、急性上気道感染症患者に対する抗菌薬の処方実態に関する疫学研究を行いました。データベースが使用できることはもちろんですが、生徒にメンター先生がつくことも教室の一つの特徴です。メンター先生から懇切丁寧なご指導を賜ることができたからこそ、疫学やデータベース解析について一切知識を持っていなかった自分でも、研究を最後までやり遂げることができたと感じております。また、教室には、異なる分野の臨床医が在籍されることもあり、臨床の観点から意見を頂くことや交流できる環境も整っています。
SPHで得られた経験は、これまでの人生の中でも一番貴重なエピソードになると思います。日本語を母国語としない留学生として、最初は多少不安も抱えていましたが、SPHで出会った暖かい方々に親切にサポートして頂いたおかげで、挫折しながらもとても充実した二年間を過ごすことができました。興味がある方はぜひ教室を訪ねてみてください。
私は初期研修を修了後、循環器内科を専門として大学病院と市中病院で後期研修を行い、2014年度に熊本大学大学院の博士課程に進学し、カルテレビューによる過去起点コホート研究やマウスを用いた基礎研究に取り組んで参りました。その研究データの解析を行う中で、十分に統計解析や研究デザインについて理解できていないと気づき、しっかりと学んだ上で研究に取り組みたいと考え、2018年度に臨床研究者養成コースに入学致しました。講義は文献評価や疫学、医療統計、医療行政、費用対効果などさまざまな分野にわたりますが、トップクラスの講師陣からお話を拝聴することができ、また、講義の中ではグループで取り組む課題があり、多岐にわたるバックグラウンドを持つ同級生と議論を尽くしたことは大変貴重な経験でした。
私は薬剤疫学教室に在籍し、循環器領域のビッグデータを用いて環境と心疾患の疫学研究に取り組んで参りましたが、生徒ひとりひとりにメンターの先生がついて、研究の進捗において丁寧かつ的確なご指導をいただけました。またスライド作成やプレゼンテーションについても貴重なアドバイスをいただきました。正直、もう少し早く入学していれば、と思うところです。
研究をやりたいけどやり方が分からない方、ある程度研究は行ってきたけどもっと理解を深めたい方、本課程を修了すればきっと次のステップアップに繋がっていくと思います。
循環器内科医として診療に携わってきましたが、臨床研究に関する知識を系統立てて学び直したいという気持ちから、2018年4月に1年制の臨床研究者養成(MCR)コースに入学しました。それぞれの分野のトップランナーである先生方から多くのご指導を頂くのみならず、さまざまなバックグラウンドをもつ学生と切磋琢磨することができ、知識や視野を大きく広げることができました。本教室では、医療ビックデータを用いた臨床研究を積極的に行っております。技術の進歩に伴い臨床研究を取り巻く環境も変化しており、今や一昔前のようなRCT至上の世の中ではありません。データベース研究は、今後ますます重要性が増していく分野であると思います。
既存のデータベースを用いて自分の臨床疑問を解決していくことが重要なことは言うまでもないことですが、川上教授はこれまで目を向けられていなかった健康情報に注目し、データベースを新たに構築する取り組みも主導されています。具体的には健診情報(学校健診、乳幼児健診)や病院の電子カルテ情報をデータベース化し、「ライフコースデータ」として個人の健康増進、自治体や国の健康施策に利活用していく取り組みです。私は、SPHで学ぶ傍ら、これらの取り組みのお手伝いをさせて頂きました。情報が所属する現場の方々に意義を説明し、問い合わせにきめ細やかに対応し、現場を訪問し、データを入力し、クリーニングし、解析して最後にレポートを作成・返却します。非常に地道で根気のいる作業ですが、データベースを一から構築し、利用可能な状態に持っていくという、疫学研究の根幹の部分を学ぶことができました。興味がある方は、ぜひ参加してみられることをお勧めします。
一人でも多くの皆様が本教室で学ばれ、同じ分野の仲間として協力していけることを望みます。
私は、卒後7年間を市中病院と大学病院で麻酔および集中治療分野で臨床業務を行ってきました。臨床医として研鑽を積んでいく課程で、その中で出会う臨床疑問に対して、実際にどのように臨床研究を行ったらよいか、またどのように研究成果を論文化していいかがわかりませんでした。そのため、臨床研究の基礎および実践を学ぶ目的で、2016年に社会健康医学系専攻(SPH)に入学しました。SPHでの2年間は講義と研究で忙しいですが、臨床疫学、医療統計などの臨床研究の要となる学問を体系的に基礎から学ぶことができました。また、一年間のMCRコースにおいては、同期と切磋琢磨するとともに高名な教授陣から直接ご指導頂くことができ、今後の財産となる非常に貴重な経験をすることができました。
また、私の在籍する薬剤疫学分野では、リアルワールドデータを用いた薬剤疫学研究のみならず次世代のデータベース構築も行っており、川上教授のもと多様な背景の研究者・学生が集まっています。研究室の中では、実際にデータベースを用いて自分の専門領域に関する臨床研究を実践することもできました。実践していく課程で、薬剤疫学教室では、様々な分野の専門家から熱心な指導や貴重な意見を頂くことができる最高の環境が整っており、私は2年間で査読付きジャーナルに数本の原著論文を出版することもできました。
SPHの2年間で得られたもののなかで、研究成果も重要ですが、一番の財産は“コネクション”であると思います。切磋琢磨した同期や、優れた指導者と繋がりが、将来の臨床研究を行っていく上で非常に得難いものであると思います。SPHへの入学を決断することは、その後のキャリアにとって重要な進路決定となると思いますが、決して後悔のない貴重な経験ができると思います。
私は、腫瘍内科医としてがん専門病院でがん診療に携わってきました。患者さんと接する日々の臨床業務は充実したものでしたが、臨床試験の立案や管理、リアルワールドの診療実態や安全性評価、薬剤の費用対効果などに関心を持つようになり、これらを学ぶことができる場として、薬剤疫学教室の門をたたきました。
在学中は、さまざまなバックグラウンドをもつ学生と交流をもつことができ、視野を広げることができました。また豊富な疫学研究の経験を有する教員の方々から多くのご指導をいただき、医療情報データベースを用いた研究をすすめることができました。
修了後は、医療機関で医療安全管理などの業務に従事しています。がん診療の経験と、大学院で得られた広い視野とデータベース研究の経験を活かして、医療の質向上に貢献していきたいと考えています。今後もさらに薬剤疫学教室で研究する方々が増え、医療界にその輪が広がっていくことを願っています。
私は大学卒業後、10年間市中病院で循環器内科医として勤務する中でEBMを実践しようと日々試行錯誤(迷走?) していました。エビデンスの確立した治療が十分に行われていない一方で、ほとんどエビデンスのない治療が臨床医の経験のみに基づいて行われている現状をなんとかしたいと考え、2016年に1年制の臨床研究者養成(MCR) コースに入学しました。
在学中は疫学、統計学のみでなく、医療制度や医療経済、医薬品開発など多岐にわたる内容を学ぶことができ、今まで臨床しか知らなかった自分の視野を大きく広げてくれました。また、MCRコースでは、自分の研究について教授陣や同級生達と徹底的にディスカッションし、ブラッシュアップしていくという非常に貴重な経験ができました。
当教室では、近年注目されている医療ビッグデータを用いた臨床疫学研究を積極的に行っており、データサイエンティストや生物統計家など様々なバックグラウンドを持った教員の先生方の指導が受けられる研究環境が整っております。 私自身は現在、循環器・生活習慣病領域でDPCデータベースを用いた臨床疫学研究を行なっており、今後は幅広い研究手法を使いこなし臨床上、公衆衛生上の問題を解決できるような臨床研究者になりたいと考えています。
臨床能力だけでは解決できない問題に対して、臨床研究は非常に強力な武器になり得ます。臨床研究で明日の医療を変えたい、そんな熱い思いを持った方々をお持ちしております。